生まれてこなければよかった
【概要】
私が物心ついた時、すでに母の目は見えなかった。そして人工透析をするために、週三回通院していた。
いつの頃からか、私は自分が生まれたことで母の目が見えなくなったのだと、罪の意識を潜在意識に抑圧していった。それに気づいたのは、32歳の時に受けた初めてのカウンセリングだった。それまで一度も顕在化したことのなかった思いが、私の生きづらさをつくっていたことを知ったのだ。
私の心に母の障害がどのように棲みつき、生きづらさとなっていったのか。時間と心を丁寧に紐解いていくと、あらゆる出来事が母との関係に起因していた。
生きづらさの正体がわかった今となっては、それが顔を出すことは少なくなった。
生きていればいいこともある。
いつかどこかで聞いたありふれた言葉を実感できるまでには、40年の歳月が必要だった。
生まれてこなければよかった
1.生きづらさの正体
3.障害を否認
8.魚肉ソーセージ
11.母を隠す
12.昏い部屋
13.授業参観の複雑な思い
14.親へのグチ
15.ハグしよう
18.SOSサイン
19.お母さん死なないで
20.母は遺影を決めている
21.毎年の事故や怪我
22.みんなと同じがいい
23.猫に嫉妬
24.母とのキャッチボール
25.父とのキャッチボール
26.母と宗教
27.器用貧乏
28.パチンコとタバコ
29.13歳から働く
30.恋人はムダ毛
31.平均以下
33.高校入学、そして後悔
34.高校だけは出ておきなさい
35.青春のバイト
37.反抗期はなかった
38.感情を吐き出した歌
39.初めての彼女
40.カミングアウト
41.母の人生を背負って
42.100万円の絵画
44.母のおしゃれ
45.ターニングポイント
46.パーソナルスペース
47.怪獣の泣いた日
48.母の居場所
49.38年目の手紙
51.やりたいことをやればいい
52.人に頼るという文化がない
53.甘え方を教えてくれる人
54.似た境遇の誰かがいること
56.言葉はうんちと同じ
57.クロロキン薬害事件
58.夫婦漫才
59.紀元前2000年
60.それは舞台だね